家族の世話や介護を日常的に行っている子どもたちを指す「ヤングケアラー」という言葉があります。
この割合が中学生の17人に1人というデータが発表されました。
イギリスで生まれた言葉「ヤングケアラー」ですが、日本におけるヤングケアラーの現状はどうなのでしょうか。
今回は「ヤングケアラーとは?定義やその数、さらに原因や解決策を調査!」と題して、わかりやすくお伝えしたいと思います。
ヤングケアラーとは?定義について
ヤングケアラーの数、実態は
厚生労働省と文部科学省が去年12月から今年1月にかけて、初めて実態調査を行いました。
公立の中学校1000校と全日制の高校350校を抽出して2年生にインターネットでアンケートを行い、合わせておよそ1万3000人から回答を得ています。
その結果、「世話をしている家族がいる」という生徒の割合は、中学生が5.7%でおよそ17人に1人、全日制の高校の生徒が4.1%でおよそ24人に1人でした。
内容は、食事の準備や洗濯などの家事が多く、ほかにも、きょうだいを保育園に送迎したり、祖父母の介護や見守りをしたりと多岐にわたっています。
世話にかけている時間は、平日1日の平均で、中学生が4時間、高校生は3.8時間でした。
驚くべきは、1日に7時間以上を世話に費やしている生徒が、1割を超えていたということです。
ヤングケアラー原因はなに?
女性の社会進出が進むと同時に、晩婚化によって高齢出産も多くなってきました。これにより、子どもが成人する前に、親が何らかの病気にかかり要介護状態になるケースが目立つようになってきました。
核家族ではシングルマザー(またはシングルファザー)の増加によって、必然的に親の世話をしなければいけない環境に置かれている子どもも多くいます。
また大家族においても、働き盛りで多忙な親世代の代わりに子どもが祖父母の介護を担う家庭もあります。
総務省が2012年におこなった調査によると、家族の介護をしている若者(15~29歳)の数は約17万7,600人に上ります。少々古い統計になるので、いま現在、その数はさらに増えている可能性は高いと言えます。
18歳前後と言えば本来なら勉強や部活に忙しい時期。この時期に家事や家族の介護に負われることは、学業に悪影響を及ぼすことにつながります。
遅刻や宿題忘れ、欠席ばかりでなく、部活動に参加できなくなることによる体力・健康面の影響がかりでなく、友だちと遊ぶ時間が奪われコミュニケーション能力の欠如につながる可能性も出てきます。
同時に、大学入試と重なるタイミングでもあることから、介護負担が子どもの進路を大きく左右することも考えられます。
実は自分もヤングケアラーだったと告白
俳優の山崎育三郎さんもかつて自分がヤングケアラーだったと話しています。当時はそういった言葉も無ければ認知度もなかったため、ご自身も後になって「そういうことだったのか」と気づいたようです。
山崎育三郎さんのインタビュー
ヤングケアラー解決策について
日本では、介護者の精神的な負担を減らす目的などから「日本ケアラー連盟」が2010年に創設されました。同連盟がヤングケアラー問題について実施した調査によると、学校の教員が生徒の介護負担に気づいた原因で圧倒的に多かった理由は「本人からの話」でした。
一方で「学校を休みがちになる」「家庭訪問で判明した」などの理由はさほど多くありませんでした。貧困問題では、自治体のケースワーカーの自宅訪問により初めてその事実が判明することが多いのですが、ヤングケアラー問題では周囲の大人が能動的に察知して発覚するケースは比較的少ないのです。
また、日本には家庭内の問題は家庭内で解決するといった考えが根強く、他者に救いを求めにくいとも言われています。
しかし、事実を知ることによって、教員や友だちなどはヤングケアラーを微力ながらサポートすることができます。
家庭内の介護はプライバシーにかかわる問題ゆえ、なかなか人に話すことをためらう人も多いかとは思いますが、子どもの将来を左右する問題だけに、信頼の置ける人にきちんと現実を話す勇気も必要で、何でも気軽に相談できる環境づくりも求められます。
ヤングケアラー問題を解決していくためには、法整備による経済的な支援は不可欠ですが、イギリスのヤングケアラーに対する措置のように、さまざまな支援プログラムを用意することが望まれます。
たとえば、学校への働きかけ、教材や情報の提供、居場所・つどいの場づくり、子ども向けのWEBサイトの開設などです。
まとめ
家族の世話や介護をする18歳未満のヤングケアラーは、中学生では17人に1人、高校生で24人に1人というデータがあります。
内容は、食事の準備や洗濯など家事が多く、きょうだいの保育園への送迎や祖父母の介護や病気の父母の世話など、多岐に渡っています。
原因は高齢化により、子どもが成長する前に父母が病気になり、要介護になったり、シングルマザー(またはシングルファザー)の増加によって、必然的に親の世話をしなければいけない環境に置かれたりすることです。
また大家族においても、働き盛りで多忙な親世代の代わりに子どもが祖父母の介護を担う家庭もあります。
総務省が2012年におこなった調査によると、家族の介護をしている若者(15~29歳)の数は約17万7,600人に上ります。少々古い統計になるので、いま現在、その数はさらに増えている可能性は高いと言えます。
事実を知ることによって、教員や友だちなどはヤングケアラーを微力ながらサポートすることができます。
法整備による経済的な支援は不可欠ですが、イギリスのヤングケアラーに対する措置のように、学校への働きかけ、教材や情報の提供、居場所・つどいの場づくり、子ども向けのWEBサイトの開設など、支援プログラムを用意することが望まれます。
ヤングケアラーが孤立したり、悲しい事件が起こったりしないよう、早急に対策を講じていただきたいですね。
コメント